愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『でも、僕もそちらの仲間入りさせて欲しいな。…何て言っても、玲奈ちゃんには訳がわからないよね。とりあえずこの車は間違いなく成瀬川邸に行くから、安心して乗って?』


「は、はぁ…」


『ここ、あんまり長いこと停車するとタクシーの邪魔になるから、早く早く』


と、私は井上さんの車の助手席に押し込まれた。


『ここから、10分もあれば着くから…』


「あの」


私はやっぱり不思議だった。井上さんの車に乗っているのが違和感。


『何故僕なのか、ってことだよね。ごめん。あとで説明させて。一つだけ言うと、玲奈ちゃんを迎えに行くのは実穂の予定だったんだ。ところが実穂が体調悪くなっちゃって僕になったの』


実穂さんが体調不良か。


でも、何で私が成瀬川邸に呼ばれるのかも分からない。


あの雰囲気、緊張するから出来れば行きたくないんだけどなぁ。
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