愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『健吾がまだ来ないから居心地悪いだろうけど、座って』


お父様に言われたものの、どこに座ればいいか分からない私。


剛先輩が小声で教えてくれた。


『ごめんな、気の遣えない父親で。金澤は、さっき僕が座っていた席の左隣だよ。ちなみにその向こうはケン兄さんだから』


着席すると、向かいは空席。


両隣は貴子さんと井上さん。


実穂さんの席、かな?


『これからはその場所が玲奈さんの定位置ですから』


貴子さんにそう言われた。


定位置って…私、定期的にここへ来るの?


まるで、結婚した奥さんみたいじゃん。


『まだ結婚とか考えてるわけじゃないだろうけど、健吾と私が認めるよ』


と、お父様に言われ、すごく嬉しかった。


『あとは、剛の隣に座れる人が現れるといいのだが』


あれ?


私がここにいるのなら、剛先輩の隣にだっているべき人が…


私は隣にいる剛先輩に小声で聞いた。
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