愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『何だか賑やかだね』


入口付近から声がした。


『お、健吾、待ってたぞ』


『遅くなりました』


健吾は私の左隣に座った。


『さ、皆揃ったけど、あとはどうするか、任せるよ』


お父様はそう言うけど、誰に任せるの?


『あの、僕から話します』


井上さんが立ち上がった。


するとどこからか


『ちょっと待って』


と声がした。実穂さんだ。


でも、明らかに顔色が悪い。


少し痩せたようにも見える。


『おい、大丈夫なのかよ』


『うん。体調以上に今ここにいることが大事だから』


実穂さんが、私の向かいに座った。
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