愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『私も、遊ばれていることは分かってたんだけど、私と関係したことを友達に自慢して、広まってしまったことに傷ついた。だから私、ライちゃんと距離置いたの。最低な男だと自分に言い聞かせて』


16歳の女の子にしてみれば、屈辱的な展開だろう。


父さんになんて言えるわけないしな。


『でもね、ライちゃんにそんなことされてもね、私は結局その後誰のことも好きになれなくて、ライちゃんを思って、私を好きになってくれた人に抱かれてた』


実穂は、うつむいて話している。


『健吾のことは、後から聞いたし、健吾も十分最低だけど、私も人のことが言えない』


俺は、黙って聞いていた。


姉弟で、随分高いリスク背負って心の隙間を埋めてたんだな。


『心のない相手と交わるのって、どんどん自分の心に傷をつけてくのよね。自分から汚れに行ってる。そんな路頭に迷っている時、出会ったのが、花だった』


枕元にある、花の小さな飾り物を見ながら話す実穂。
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