愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『あとは、まぁこのクラスにはいないけど、高校出て就職する連中は、働き出すと年金の支払いが発生したり、所得税だって払う。つまりは…』


健吾は正面を見て笑った。


『社会的には、ひとりの"自己解決"と"自己責任"の能力が十分にある人間として扱われると言うことだ。今までは18歳になっても、学校という組織に守られてきた。しかしこれからは、大学に行くと、自分で判断しなければならないことが格段に増えるはずだ』


健吾はひと呼吸置いた。


『だから、自分を見失わずに、ぜひ夢を見つけて欲しい。俺と違って、みんなは自由に人生のレールが敷けるはずだから』


健吾は外している腕時計を見た。


『さ、これから10分休憩取るぞ。その後、2つ目のテーマをやる』


と、言い残し、健吾は教室を出た。
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