愛されることの奇跡、愛することの軌跡
多分、私、美郷、陽平以外の人間は、みんな驚きの声を上げたはず。


『それでも、俺は一年、教師としての職を全うし、卒業したら、自分の思いを告白しようと思ったんだ…ところが、それを待たせてくれないくらい、とにかく彼女はモテる。告白現場に何度も出くわして、俺を焦らせ、そして追い込んだ』


健吾は俯いた。


『そして、俺は、教師であることを忘れ、ダメなただの男になる道を選んだ。実は、ここの担任になる直前に…』


健吾は、ゴールドヘブンリーホテルで私と偶然出くわした時、自分のハンカチを差し出して印象づけようと小細工をした話をした。


『その、偶然の出会いと俺が撒いた種がきっかけで彼女は告白した俺に対して、OKをしてくれたんだ』


『誰なの、このクラスなんでしょ?』


三浦くんが聞く。


『始業式の日、無理矢理な形で学級委員を押し付け、なるべく彼女と近付いていたいと欲が働いたと言えば、分かるかな』


みんなが一斉に私を見た。


だから私はその場で立ち上がった。
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