愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『1年前に話を聞いた時には、俺も最初は反対したよ。でもね、徳重先生は木内のことを本気で愛してるんだと分かった時、こいつらを応援しようと決めたんだ』
「何で本気だと分かったんですか?」

先生は窓から校庭を見つめていた体を私の方へ向けた。

『君の存在だよ』

え?

「私、ですか?」
『教師と生徒と言う背徳な関係は、誰にもその関係を公表できないだろ?でも徳重先生は、木内の友達である金澤だけには自分たちの関係を教える選択をした。そうしないと、木内との恋愛も、ただ苦しいだけのものになるから』

だから、徳重先生は美郷のために私を時々自宅に招くんだ。

『そして、明日からは俺もその仲間入りってわけよ。あ、そうだ。金澤、携帯持ってるか?』
「はい、ありますけど…」
『明日は恐らく合奏もあるし、こうして話す時間が車に乗るまでないと思う。悪いけど不測の事態に備えて、番号とアドレス、教えておいてくれないか?』

何か、ますますこき使われそうで少し抵抗があったけど、美郷たちの味方みたいだし、先生の携帯と赤外線で交換した。

『じゃぁ、アドレス交換してくれたから、ご褒美あげるよ。何がいい?』
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