愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『金澤、部活お疲れ様』

と、先生が運転席に座った。

『前に移動しなくていいのか?』

と先生に言われたけど。

「とりあえず学校の敷地の外に出てからにしませんか?そうじゃなくても誰かに見られるとマズイじゃないですか。なので、徳重先生のお家に着くまでこのまま私ここにいます」
『ふぅん。君も生真面目だね。もしバレても、理由なんていくらでも作れるのに』

車を発進させてネクタイを緩めながら先生は言う。

「その余裕は、先生が成瀬川の人間だからですか?」
『…』

私のその質問には、先生は無言だった。
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