愛されることの奇跡、愛することの軌跡
そうか、実家にいるのかな、独り暮らしなのかなぁ。
聞いたら、教えてくれるのだろうか。

成瀬川の人なのに、"橋本"と名乗って素性を明かしていないところもミステリアス。

あ、ヤバい、のぼせてきた。

私は急いでお風呂を出た。

キッチンで麦茶を飲んでいると、陸が降りてきた。

『姉貴、やっぱり高校ではレギュラー取れそうだよ』
「それだけ弱小チームってことでしょ?アンタの実力じゃないし」
『俺は元々実力あるのに、中学では花開かなかったんだよ』
「何よ、その自信。まぁ、女の子にモテるようになれば、本物じゃない?」

私はイヤミっぽく言ってみた。陸には女っ気がない。

『何だよ、俺は純粋にバレーボールという競技を楽しみたいだけなの』
「そんなピュアな気持ちがいつまで続くことやら」
『俺のことバカにしてるでしょ』

"アハハ"と私は笑って

「頑張ってね、おやすみ」

私は自分の部屋のある2階に行った。
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