マネージャー(仮)




ぬくるめくハッピーライフを期待して
私はゆっくりと顔をあげた




「「…………」」




しばしの沈黙。




ナンパしてきた男は
中性的でかなり整った顔立ちをしていた


いわゆるイケメンってヤツね



切れ長の二重の目は
私を見た瞬間
みるみるうちに曇り、
眉毛は異常な程につり上がった




「お…、まえ」



薄い唇から洩れた言葉は驚く程、震えていた




あれ?


なんか見たことあるんだな~、このイケメン君。



おぉ、何故だか冷や汗が止まらない。




イケメン君の後ろにいる
お友達らしき男二人は
「え?知り合い?」とイケメン君に問い詰めている


しかし、イケメン君には
聞こえていないようで。




「おま、お前……は





昨日、俺の股間蹴りやがった奴だッッ!!!!





ちょ、オイ


公共の場でそんな言葉はやめたまえ。





イケメン君は私をものすごい形相で睨んだ



冷や汗が相変わらず止まらないのは


それが真実だから、だと思う。



< 2 / 6 >

この作品をシェア

pagetop