ロッシュの限界
「え?」
驚いて、自分の手首に目をやると
その何かは佐藤の左手だった。
どうしたの、と聞こうとしたけど
それより前に佐藤が口を開いて「もう少し」と言った。
「あたしも付き合うの?」
「…だめ?」
少し悩んで、私は佐藤の隣に立つことにした。
「ちょっとだけね」と言って佐藤の顔を見ると、満面の笑みで「ありがとう」とか言うから。
「しょうがないなぁ」
なんて。あたしもつられて笑ってしまう。