女タラシの幼馴染に片想い!完
◻︎恋は山あり谷あり。
「杏珠ー、お前どこ行ってたの」
「‥‥‥誰かさんのせいで、汚れた手を洗いにお手洗いまで」
「もー限界。腹へった!早く弁当食わせて」
‥‥‥無視かい!!!
暗くなってしまった雰囲気を取り除くように、もういこう!と明るく振る舞った私をただひたすらエリカは何も言わず、微笑んでくれた。
あまり、触れて欲しくないこと、エリカは分かってる。
ごめんね、心配かけて。
諦めがつく時がきたら、すっぱり忘れるから。
それまで待っていて、エリカ。
直接なんて、恥ずかしくて言えないから心の中でそう呟いた。
「早くー早くー」
「うるさい!」
早く早くと騒ぐ緋色を睨んで、鞄から二人分のお弁当を取り出す。
そう、緋色のお弁当まで私が面倒をみている。