君の居場所
〈side頼斗〉
俺は春音が頷いたのを確認して、
ゆっくりと口を開いてゆく。
俺と春音の関係も、
くまなく教えた。
春音の両親の事も、俺の両親の事も。
もちろん娜麝の事も。
全て全て、話した。
話し終わった後、
春音は泣いていた。
泣くな、と言いたかったけど、
春音も俺も、泣いた。
「らい、と・・・。
私、頼斗の事、覚えてたかも。」
春音から、嬉しい言葉が発せられた。
「だって私、名前は思い出せなかったけど、
そんな事もあったな、って分かったもの。
今まで思い出せなかった。
私はいつも、
両親に捨てられる事しか思い出そうとしなかったから。
しかも、違ったんだね。
私の両親は、私を捨てたんじゃない。
私のためを思って、私を〝逃がした〟んだ。
今まで恨んできたのが馬鹿みたいだね。」
そう言って切なげに笑う彼女を、
俺は守りたいと思った。