君の居場所
荷物を適当に床に置き、
竹刀が何本かと、日本刀が入った竹刀袋を持つ。
彼女は刀を取り出した。
竹刀袋を床に投げ捨て、
鞘(さや)にしっかりと包まれた刀を、軽く握り返した。
それは何かの儀式のようで、
厳か(おごそか)であり、誰もが目を見張るような・・・
繊細な身のこなしだった。
彼女は鞘から刀を抜き、
1ミリのブレも無く、前方に突き出した。
シュッ
という、空を切る音がした。
そこで彼女は、何の前触れもなく、
ふと刀を右手から左手へと持ち替えた。
彼女は左利きではない。
つまり、これはハンデである。
たとえ世界単位で強くても、
彼女には勝てないのだから。