君の居場所



「まあ、いいや。で・・・

攻めるのか?」



ああ、竜か。

当たり前の事すぎて、何にも言えなかったよ。



「そうだな・・・。

でも、僕1人で行く。」



「はあっ?

春、意味分かってんの?

死ぬかもしれないんだよ?

もし、春に何かあったら・・・あたし、どうすればいいのよ?」



「〝もしも〟なんて、ありえない。

僕は強い。

死ぬ事も無ければ、傷1つ負わない。」



夏菜は心配しすぎだ。

たとえ僕が死のうが、死んだのか、で終わればいい。

なのに、何をそんなに悩む?



「だって春音は、女だろ?

1人で、とか思っては・・・、無いよな?」



隆が口を開き、

長い長い沈黙が流れた。

その沈黙を破ったのは、僕。



「僕1人で足りる。」



その1言が、何を意味するか分かったはず。






< 31 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop