君の居場所
闇夜に目を慣らしながら、
僕はひたすら歩く。
鞘にしっかりと包まれた刀を持って。
全身を黒く染め、フードを深くかぶる。
フードの中の薄緑が邪魔。
だけど、これは本当の僕の姿。
通行人なんていないような寂しい道に、
ところどころこびり付いている血。
「汚い。汚れきっている―――・・・」
呟きは呟きでしかなく。
儚く夜空へと消えていった。
ここでは、これが当たり前。
僕には異空間に見える。
それほど汚れている。
けれども、それは僕も同じであるのだ。
何故なら僕も、血を流してきたから―――尊い命を無駄にしてしまったから。
気味が悪いほど長い道を抜けると、
あるものが見えた。
今まさに向かっていた、西風の倉庫だ。