君の居場所


その傍らで、また自分の心臓がドキリと高鳴る。



「ありがとう。僕・・・」



「おい。」



僕が言いかけたことを無視して、

頼斗が不機嫌そうに声を出す。



「春音は女だろ。

さっきも〝私〟って言ってたのに、

何でまた〝僕〟って言ってんだよ。

ちゃんと私って言え。」



すると一拍間を空けて、ニヤリといたずらに笑った。



「言えなかったらお仕置き。」



・・・。え?

ななな、何でこんな事になってるんだよぉ。

てか、私って言っちゃってたとか、最悪。

ボロが出ないようにしてたのに。



「お仕置きされたい?

嫌なら早く言え、な?」



・・・っ、痛いのとか、鞭(むち)とか、嫌だ!



「ゎわ、わた、私!」



い、意外と言えた。

まあ、言ってて嫌じゃないかも。

私、か。

もう、私でいいよね?

頼斗の前でしか言えないかもしれないけど、

せめて頼斗の前だけでも私になりたい。



「よく出来ました。」



優しく言う彼は、かっこよく映って。

ドキッと、心臓が痛くなる。






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