君の居場所
『春音(はるね)ちゃん、5歳のお誕生日おめでとう。』
『春音、大きくなったな。』
大きい?
まだ5歳なのに?
でも。
『パパ、ママ、ありがとうっっ。』
結構嬉しかったんだ。
『プレゼントよ』
そう言って母から渡されたものは大金の入った通帳だった。
おかしい おかしい おかしい
何かが
おかしい―――・・・。
『でも、この家からは引っ越さなきゃいけないんだ。』
なんで?
急すぎじゃない?
『3人で何か食べに行きましょ。』
『う、ん・・・』
何でこんなに優しくするの?
いつもとは違った気味の悪い優しさ。
僕は怪しいな、と思っていた。
でも何も言わなかった。
いや、言えなかったんだ。
こんなに優しくしてもらえたのは、本当に久し振りで。
だからかな。あんな事になったのは・・・。