君の居場所
「はあ。」
家への帰り道、ためいきが漏れる。
チッ
来んなって言ったのに。
でも、頼斗は見とくだけって言ってた。
それなら良いかもだけど、何かなぁ。
気が向かないっていうか、何ていうか。
よく分かんない。
「ため息ばっかりつくな。
幸せが逃げて行くぞ。」
「はいはい。」
そう言った時、わずかに声が聞こえた。
明るい繁華街に比べ、とてつもなく暗い路地。
そこに響いた声。女の、かすかな泣き声。
それはすぐにやんだ。
バシッ
この音と共に。