君の居場所
『あ~、おいしかったぁ。』
お店から出てしばらくしての事。
『春音、ここで待ってろ。』
そう言って、どこかに連れてこられた。
『パパ?どこ行くの?』
聞いても何も答えは無くて。
『ママも行くわ。じゃあまた後でね。』
父はくるりと背を向けた。
母も父の後を追いかけた。
細い路地だったのを覚えてる。
〝また後でね〟って言ったのに来てくれなかった。
その時、〝捨てられた〟ということが分かった。
1度家に帰ったけど、荷物1つ無く。
それからは、あの人に拾われ〝女〟ということを隠して生きてきた。
まあ、いろいろあったから。
そして今があるんだ。