君の居場所
「しの・・・ぶ?どうしたんだ?」
そう言うと、
右腕を少し緩めに握りしめていた。
シャツをシワにしながらも、
なおも握りしめている。
忍が、忍で無いような、そんな錯覚が起きる。
少し冷めたような目。
どこかで見たような、
それでも初めて見るような、そんな顔。
手をつかんで止めろ、と言おうとすると
素早い動作で避けられた。
忍?
「あ・・・ごめん。
学校遅れるぞ!」
努めて明るく振る舞う姿に、私は何も言えなかった。
靴箱に行くと、
「キャー!悠様と忍様よ!」
と、叫ばれた。
いやいや、叫ぶなって。
近所迷惑じゃん。
近所じゃないけど。
「あら、忍様、今日は長袖ですのね。」
1人の女が言う。
あちゃー、それ言っちゃいけないでしょ。
「ああ、これ?
何かこういう気分だったんだよね(ニコッ)」
出た。必勝スマイル!
って、普通に返せるんじゃんか。
心配して、損した!
ふんっ、だ!