君の居場所
〈side頼斗〉
行くな 行くな
絶対にそっちには〝行くな〟
せっかく見つけた彼女を手放すのは嫌だ。
約束もまだ、果たせてない。
あなたとの約束でしたよね。
〝あなた〟との約束―――――・・・
それが俺を縛り付けるのか。
分かんねぇ。
だけど、彼女を、
春音を俺に守らせようとしたとき、
あなたの顔は歪み、
自分の元へまだ置いておきたいようでした。
『・・・っ、頼・・・む』
今でもあの、絞り出したような声が思い出されてやまない。
その後に紡がれた言葉。
『春音を、守ってくれ。
もしこれで最後なら、いつか春音を―――・・・
春音と出会った時、絶対、守ってくれ。』
そう告げられたのは、
春音が両親に〝捨てられ〟て少ししてからだった。
鮮明な記憶の中に、約束だけが強く残った。