君の居場所


ガラッ―――

教室に入ると、みんなの視線が集まる。

見なくて良いし。

見んなだし。

ムカつく。

いつもの俺なら、そんな事は思わない。

またか、くらいにしか思わねぇし。



「頼斗様、今日はどうなされたのですか?

いつも以上に遅いのですが、何か災厄でも?」



あ?

災厄?

んなもんねーよ。

とは思っていても口にはしない。

さすが俺(笑)

でもやっぱり口は正直で・・・、



「災厄?

んなもん知るか。

テメーみたいな女に心配される必要はねぇ。」



「フッ。

馬鹿ね。 

頼斗様はみんなのモノなんだから、気安くそういう事言われたら困るのよね~。

〝私達〟の頼斗様なのよ。

分かるでしょうね?

あなたはもう、ファンクラブには居られないわね。

今日で辞退かしら。」



ホホホ、と笑う彼女は、俺のファンクラブの創設者らしい。

でも、俺の許可とかあげてねぇーんだけど。

これって、人権の損害?

こいつの名前って何だっけなぁ、と考えていると、



「ゆ、友梨恵(ゆりえ)様!

それだけはお許し下さい!

な、何でもしますからっ」



あ、友梨恵で思い出した。

堂前(どうまえ)友梨恵だ。



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