君の居場所
『父さん?
お家のことなんかわかってるよ。
おっきなお家だよね。』
ううん、と、少し困った顔をしてこう言った。
『〝家〟の事じゃ無いんだ。
仕事の事なんだ。
俺は、刀を使って、他人を傷付ける仕事をしている。
殺しはしないがな。
俺のおじいちゃん、父さん―――・・・そして俺と言うように、ずっとやってきたんだよ。
俺らは、〝娜麝(だじゃく)〟という、人間のような化け物なんだ。』
『だ・・・じゃ・・・く?』
『ああ。娜麝だ。
俺らは、変な力を持って生まれてくる。
人をいとも簡単に殺めてしまえる、そんな力だ―――。
お前も、その力を制御しないといけなくなる。
いつその力が暴走しても、おかしくはない。
しかも、この力を持った人間は、狙われやすい。
お前はそれに抵抗出来るような力を、新たに身に付けるんだ。
いいな―――・・・?』
『うぅん・・・』
肯定か否(いな)かも分からないような、
はっきりしない返事をした。
まだ、理解をしきれていなかったんだ。
分かったような、分からないような。
微妙な心で、俺はその部屋を後にした。