君の居場所
悲劇はまだ、終わらない。
そう。
本当の悲劇は、ここからだったんだ。
こんなにも君が好きだったのに、何でなんだ・・・?
君は、居なくなった。
それは、俺達が家を出る、1日前―――。
ピーンポーン
『あらぁ、頼君ね。
じゃあ、上がってちょうだい?』
おばさんがそう言って、中に入れてくれた。
その時のおばさんの目は、なんだか悲しそうで。
俺は、どうしたのだろうと思いながらも、何も言えなかった。
『ママァ・・・って、らい君じゃん・・・。』
呟きにも似た声で、彼女は言った。
今にも泣きそうな目で、俺を見ていた。
そんな顔されたら俺だって。
泣きたくなる。
『春音ちゃん、ちょっと2階に上がっててくれる?』
おばさんがそう言った。