ライトブルー
自由
「ちょっと何これ? 超甘いんだけど」
「さあ、何だろ」
「うーん……パイナップル?」
「当たり」
――ありえない。
「今日缶詰安かったから」
そう言って浅黄(あさぎ)は部屋の電気をようやくつけた。
グツグツと鍋の中で缶詰のパイナップルが煮えていた。
「こういうのを『食べものの無駄』って言うんだよ」
「じゃあおまえの入れたその具は何だよ?」
「何って、ビーフジャーキーだけど」
「おかしいだろ」
「何で?」
「だって鍋だろ? だしなら昆布入ってんじゃん」
「だし? ビーフジャーキーこそメインディッシュ的なものだよ」
「はぁ? ふざけんな」
闇鍋は浅黄と食べると一層楽しい。
美味しいとは言えないけど。