ライトブルー
大きなボストンバッグを提げて、意気揚々と駅の階段を下りていたところだった。
「痛っ!」
新調したパンプスに慣れていなかったせいで、足を軽くひねってしまった。
「ったく、何してんだよ」
見上げると勝ち誇ったような表情の浅黄がいた。
「何? あんたも帰るの?」
「ほら、グズグズしてんな。電車乗り遅れんぞ。早くしろよ、立て」
浅黄は私の手を引っ張って、半ば引きずるように私を改札まで連れて行った。
「あと、二分だ、急げ」
「ちょ……痛いんだけど」
ホームの階段がやたら長く感じる。浅黄の細い腕が汗でキラキラしている。
私の自由を、どうしてこいつはいつもいつも奪っていくんだろう――