ライトブルー



 諸々の憂さ晴らしをすべく、バイトの帰りに砂浜におりてみた。

「バカヤロー!」

 いかにもベタな叫びを海に向けたけれど、憂さ晴らしどころかますます虚しさが込み上げてくる一方だった。

「あーあ……」

 私は砂浜に寝ころんで夜空を眺める。波はやけに静かだった。

「何してんだ?」

 声をかけられて飛び起きると、やっぱり彰吾がいた。

「……そうだな、おすすめはナポレオンパイかな」

「は?」

「ケーキだよ、ケーキ。ロビーで食べるケーキだよ。ナポレオンパイ、すげぇ美味いんだぞ」

「……ふーん」

 私は中身のない相づちを打つ。

「食べにいくか?」

「……」

 私は黙る。一方、彰吾はホテルに向かって歩きだした。


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