ライトブルー



「なんだ、おまえ。ついてきたのか」

 ホテルのロビーには喫茶店がある。ショーケースには、目移りしてしまうほど美味しそうなケーキが並んでいた。
 とりあえず、私と彰吾は椅子に座る。彰吾はアップルパイとコーヒー、私はナポレオンパイとミルクティーを注文した。

「それにしてもおまえ、マジでその忍耐力ハンパねぇな」

「忍耐力?」

「ああ。このホテルは客から見れば、伝統があって上品なイメージだけど、現場はそんなもん知ったこっちゃねぇ。従業員の女どもは容赦なく新人をいじめるからな」

「……ここでそんな話するのマズくない? ていうかあんたはいつも何してんの?」

「俺か? 俺はフロントの奥で一日中電話対応だよ」

「ふーん」


< 40 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop