ライトブルー
「なんだ、おまえ。ついてきたのか」
ホテルのロビーには喫茶店がある。ショーケースには、目移りしてしまうほど美味しそうなケーキが並んでいた。
とりあえず、私と彰吾は椅子に座る。彰吾はアップルパイとコーヒー、私はナポレオンパイとミルクティーを注文した。
「それにしてもおまえ、マジでその忍耐力ハンパねぇな」
「忍耐力?」
「ああ。このホテルは客から見れば、伝統があって上品なイメージだけど、現場はそんなもん知ったこっちゃねぇ。従業員の女どもは容赦なく新人をいじめるからな」
「……ここでそんな話するのマズくない? ていうかあんたはいつも何してんの?」
「俺か? 俺はフロントの奥で一日中電話対応だよ」
「ふーん」