ライトブルー
夜の潮風が吹くと、彰吾は着ていた上着を私に着せた。
「ありがと」
「風邪ひいたら、バイト行けないだろ」
「うん」
「眠そうだな」
「うん」
時計を見ると、もうすぐ明日になるところだった。
「帰るか?」
「うん、帰ろ」
うとうとしながら私は彰吾の後を歩く。こういうときは砂浜だと歩きにくい。
ようやく道路に出ると、
「おーい、楓ぇ!」
その影は浅黄だった。車がすれ違い、一瞬視界が明るくなった。
「……楓? え?」
浅黄は茫然と私たちを眺めていた。