ライトブルー
「え……楓、何してたんだよ? つーか、隣のひと……」
「ん? 彰吾と海で星見てた。どうかしたの?」
浅黄はクルッと背中を向けて、走り去っていった。
「浅黄か」
「うん。何、あれ。変な奴」
途中の自動販売機で缶コーヒーを買って、飲みながら歩く。
「風がだんだん冷たくなってきたな」
「もうすぐ秋になっちゃうね」
風向きが変わる。髪が風になびく。
「彰吾」
「ん?」
「手つなごう」
「いちゃいちゃラブラブは無理なんじゃないのか?」
「んー? ちょっとだけ気が変わった」
彰吾は私の手を取る。彰吾の手は、痩せた華奢な手だった。