ライトブルー
ついに喫茶店のケーキを全制覇する日がきた。記念すべき最後のケーキは、ガトーショコラだった。
「そういえば楓、明日でこのバイトも終わりだな」
「うん。何だかんだ言って、何気に充実した毎日だったよ」
いつものように私は淡々としていた。一方彰吾は何だか浮かない顔だ。
「私、明後日向こうに戻るから。ありがと」
「いや、ありがとって言われても……」
「え?」
「……まさかおまえ、いわゆる『ひと夏の恋』だとか思ってねーだろうな?」
珍しく彰吾は真顔だった。