【短編】束縛彼氏
今まで、喧嘩なんてしとこなかった。

束縛されていても、我慢して。

それが、当たり前だったからかなぁ……

「亜子ちゃん?」

急に名前を呼ばれて、

下げていた目線を、上に上げる。

「北大路くん?」

北大路康人。

良治と大学が一緒で、あたしとも結構仲がいい。

「どうたしの?」

「北大路くんこそ、どうしたの??」

「俺は、これ」

北大路くんは、手に持っていたコンビニの袋をあたしに見せるように上げる。

「あぁ、コンビニ?」

「うん。亜子ちゃんは??」

「あたしは……」

「もしかして、良治と喧嘩でもした??」


図星をつかれ、何も言えない。

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