卒業式がはじまりの日
翔先輩を見つけたのは、最後に卒業生が退場をする時。
卒業生の泣いてる姿につられてわたしの目にも涙がじわじわ溜まってきた。
わたしのクラスと1年生のクラスの前を通る卒業生。
翔先輩のクラスが退場し始めた時にすぐに彼の姿が目に入った。
前の人を追って、背筋をピンっとして、でもいつものように怠そうに歩いてる彼を見つけた。
翔先輩、わたしに気付いて!
と心の中で大きく叫びながら、彼の姿をひたすら見つめる。
そして翔先輩がわたしの前を通り過ぎる時……
「じっーと見すぎ!ばーか!」
と小さな声で呟いて去って行った。