教えてくれたのは、あなたでした
私はそのまま走って逃げた。
無我夢中で走っていると、
「おいっ」
という声と共に、ガシッと腕を掴まれた。
「や、だっ。離して!」
私はその手を振りほどこうと、必死で暴れた。
そして、
「どうしたんだよ?…美紀!」
という浩多の声で、我に返った。
私の目に映ったのは、
私の手をつかんでいる浩多の手と
心配そうな顔をしている二人だった。
「っ、うっ…、」
二人の顔を見て安心したのか、私は泣いてしまった。
「どうしたの?美紀…」
そういいながら、背中をさすってくれる優子ちゃんに、さらに涙が溢れた。