とろける恋のヴィブラート
「コンサートでもコンクールでもない。誰もいないと思って自分の音を出せばいい」


「え……?」


「じゃあ、また後で……あ、それと」


 ニヤリと意味深に笑って、踵を返した御堂が振り返る。


「お前って、案外胸あるんだな」


「◎◇∀☆っ~~!?」


(ど……どこ見てんのよぉぉ!)


 奏は真っ赤になって、御堂が後ろ手で閉めたドアを睨みつけた。


(もう、あんなこと言われたら……調子狂っちゃうよ)
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