とろける恋のヴィブラート
「し、柴野……さん?」


 驚いて顔を上げると、今までに見たこともない柴野の双眸に奏はぐっと息をの呑んだ。


「ねぇ、奏……まさか御堂の事なんて考えてないよね?」


「え……?」


「渡さないよ……だって、君を幸せにできるのは僕しかいないんだから」


 刹那――。


 柴野は、強引に奏での唇を奪い、何度も唇を貪った。


「い、いや!」


 無意識にバッグを柴野に叩きつけると唇が離れ、その隙に奏は柴野の身体を突っぱねた。
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