とろける恋のヴィブラート
 確かに二人共、綺麗な顔立ちをしている。身内と言われれば違和感はない。


(そんな……なによそれ、今更だよ……)


 今まで自分が信じていたことは全くのデマだったのだ。思わぬ肩透かしに、奏はへなへなと気が抜けてしまった。


「瑞希と従兄妹同士というのは公表してないから、マスコミは何も知らずに美味しいネタとして、そんなふうにでまかせ言ってるんだろうけどな」


 唖然としている奏を、御堂は呆れたような目で見下ろすと、鼻を鳴らして腕を組んだ。


「お前……もしかして瑞希に嫉妬してたのか?」


「なっ――」


「俺の部屋にあった瑞希からのエアメール見てへこんでただろ?」


 御堂は、そう言いながら揶揄を含んだ声音でニヤリと笑う。図星を突かれた奏は、言葉に詰まって抵抗する術を失ってしまった。


「お前の指を傷つけるような奴、俺は許さない……」


 優しく、そして慈しむような御堂の声に、奏はされるがまま手を取られた。そしてゆっくりと、御堂の唇が指先這う。
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