とろける恋のヴィブラート
「あ、あの……素敵なドレスありがとうございました。交流パーティの時のドレスがあったんですけど――」
そこまで言って、奏は柴野のことを思い出して押し黙った。
「前回のドレスよりも断然いい。まぁ、この期に及んであの男に買ってもらったドレスをまた着てきたら……その場で脱がせてやるけどな」
「も、もう! 変なこと言わないでください!」
(前回のドレス……柴野さんに買ってもらったなんて言ったっけ?)
「ほら、気持ち入れ替えろ、雑念があるから緊張するんだ。自分の音を奏でることだけに集中しろ」
「あ、は、はい!」
ふと浮かんだ疑問符が、御堂の声にかき消される。そして、力強く返事をしてにこりと笑うと、先程までの緊張の糸がいつの間にか解けていた――。
そこまで言って、奏は柴野のことを思い出して押し黙った。
「前回のドレスよりも断然いい。まぁ、この期に及んであの男に買ってもらったドレスをまた着てきたら……その場で脱がせてやるけどな」
「も、もう! 変なこと言わないでください!」
(前回のドレス……柴野さんに買ってもらったなんて言ったっけ?)
「ほら、気持ち入れ替えろ、雑念があるから緊張するんだ。自分の音を奏でることだけに集中しろ」
「あ、は、はい!」
ふと浮かんだ疑問符が、御堂の声にかき消される。そして、力強く返事をしてにこりと笑うと、先程までの緊張の糸がいつの間にか解けていた――。