とろける恋のヴィブラート
 御堂のヴァイオリンの旋律が余韻を会場に余韻を残しながら終わると、拍手喝采が沸き起こった。演奏家としての御堂を知っている人も中には大勢いて、感嘆のため息を漏らしていた。



「ありがとうございました。とても素晴らしい音色でしたね。それでは――」


 余興の最後の曲、御堂がオリジナルで作曲した二重奏の紹介がされる。奏は、ふと会場にいる人たちに視線を向けた。


 すると――。




 ――君は才能があるのに、演奏家としては致命的な欠点を持っているね……残念だよ。
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