とろける恋のヴィブラート
 ぽかんとまぬけ面をしている自分を、クスリと笑って見据えていたのは御堂カイリだった。

 そして何も言わずに御堂は図書室を後にした。図書室に流れ込んできた春の生暖かい風が、いつまでも放心する奏を揺らしていた――。
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