とろける恋のヴィブラート
 すっかり日も暮れ、誰もいないホールに通されると、宝石を散りばめたようなパノラマ夜景が目の前に広がった。


「綺麗……」


「この景色は、当ホテルの売りのひとつなんですよ。ここで結婚式を挙げられる方もいらっしゃいます」


(結婚式……)


 まだまだ自分には縁のない単語のはずだが、奏はピクリと反応してしまう。
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