とろける恋のヴィブラート
 ※ ※ ※

「それで御堂様は今回、招待ゲストということで、パーティ自体は夜の六時からなのですが――」


「……ふぅん」


「御堂様にも顔なじみの方々がいらっしゃいますので――」


「……へぇ」


「是非、開始時刻からご参加いただければと……」


 何を言っても無関心な反応しかしない御堂に担当者は力なく笑って肩を落とす。


 そして御堂は、そんな担当者を気にかけることもなくヴァイオリンの弓にクロスを這わせながら手入れをしていた。
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