瞳の中の碧い海



金曜日最後の授業が終わって
逃げるように
学校を出ようと走り出す。



「ちょっと待て」



首根っこを捕まえられた。
振り返ると健ちゃんがいた。



「そんな大荷物で
  どこ行くんだよ?」



健ちゃんは既に
目が吊り上って
怒った顔をしている。



「今日から友達の家に
  お泊りに行くの!」


「友達って誰だよ…」


「誰だっていいっしょや」


「翼、おまえ最近変だぞ!?」


「何も変な事なんか無いよ!」




健ちゃんの腕を振り切って
私はまた走り出した。



早く早く



棗に会いたい。






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