瞳の中の碧い海
またドアが開くと同時に
彼の胸に飛び込む。
「なんでそんな
切羽詰ってんの」
棗の低い声が
耳元で笑った。
間近で見る彼の顔は
いつもと何も
変わらずにきれい。
その薄い瞳の色に
吸い込まれてしまいそうだ。
玄関で靴を脱ぐのもそこそこに
激しいキスが始まる。
そのまま
ベッドに直行してしまう。
こんなのは多分
恋とは言わない。
体だけしか
求められていなくても
それでもいいと思えるなんて。
健ちゃんがママが
心配してくれているのは分かる
私が一緒にいる相手は
彼らから見て
あまりいい人では
ないだろうから。