瞳の中の碧い海
儚い夢
土曜も日曜も
とても良いお天気なのに
棗はどこにも
出かけようとしない。
せっかく海がきれいに見える
リビングのカーテンを閉切って
薄暗い部屋にこもるばかりだ。
「どこか行かないの?」
「家から出られないって
言っただろ」
家から出られないって
どういう事情なんだろう?
彼の言うことは
いつもさっぱり分からない。
「じゃあ家の中で
出来ること何かしようよ」
「またしたいの?」
「…そうじゃなくて」
「他に何があるんだよ」
「いろいろあるじゃないの」
「まさかトランプとか
言わねぇだろうな?」
棗の部屋はテレビ以外に
何も娯楽が無い。
そんな中にもう
2週間も引きこもっている。
本人もそれを
楽しんでいるとは
思えなかった。