瞳の中の碧い海
「あぁっ…」
体が勝手に反応して
声を上げてしまった。
自分でもびっくりした。
棗はその様子にクスッと笑う。
「少しは良くなってきた?」
「うん…」
「いい子だ」
そう言って
背中を彼の舌が
つうっと這うと
鳥肌が立って
体が自然に仰け反った。
「翼、可愛いね」
もうちょっとしたら
良くなるから、と
彼が言ったのは本当だった。
独りじゃないという
安堵感は
ますます強くなり
呼吸さえも
一緒にしているような
錯覚に陥る。