瞳の中の碧い海
「棗、函館山は
行った事ある?」
「ない。有名だよな。あー、
一度くらいは行きたいな」
「函館山もすごくきれいだよ」
「じゃあ翼
一緒に行ってくれる?」
その言葉はとても嬉しかった。
初めて彼が
私を必要としてくれた
気がした。
「うん、一緒に行く。
いつでもどこでも!」
「ホントにどこでも?」
「うん」
「どんな目に遭っても?」
「うん」
「ずっと
一緒にいてくれる?」
「うん!」
「…キスしよっか」
「は?」
いくら薄暗い展望台とはいえ
沢山人がいるのに…
棗はそんなことも
お構いなしだった。