瞳の中の碧い海
円山にあるレストランで
ご飯を食べて帰ることにした。
最初棗が
行こうとしていた店は
ドレスコードのあるような
高級なお店だったので
尻込みしてしまって
もうちょっとカジュアルな
イタリアンの店に
してもらった。
「金曜もパスタだったのに
嫌だったかな?」
申し訳なく思って
恐る恐るそう訊くと
「人のことは気にしないで
言いたいことは言いなさいよ」
と言われただけだった。
ずっと健ちゃんと
一緒にいたせいか
自己主張をする前に
どうしても遠慮してしまう。
店に入るとやっぱり
そこにいる人達が
一斉に彼に注目する。
店員さんまで
ポーっと見とれているくらい。
彼は相変わらず
そんなの全く気にしないけど
私の方は針のむしろだよ…。