瞳の中の碧い海


どこか近くのテーブルから


また


「連れの女は普通じゃん」


という声が聞こえた。



分かってはいるけど
しゅーんと
小さくなってしまう。



棗にも
それが聞こえたのだろうか?


ちらっと声がした
テーブルの方を見た。



彼は青緑の箱から
煙草を出して
火を点けてから



向かいに座る私の顔を
まじまじと見つめる。



「翼が一番可愛いよ」



恥ずかしげも無く
そんな事を
聞こえよがしに言ってのける。







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